補助金に税金はかかる?【2026年度版】法人税・消費税の扱いと圧縮記帳の基本
2026-08-17 更新 / 補助金かんたん診断 編集部
「補助金は返済不要のお金」——これは正しい説明ですが、半分だけです。返す必要はなくても、税金はかかります。数百万円の補助金が入金され、その事業年度の決算で思いがけない納税額を突きつけられて驚く、というのは実際によくある話です。
この記事では、補助金を受け取ったときの税務上の扱いを、法人税・所得税、消費税、そして課税を先送りできる圧縮記帳という順に整理します。専門的な判断は税理士に確認すべき領域ですが、相談する前に「何が論点になるのか」を知っておくだけで話が早くなります。
① 補助金は原則として課税対象になる
補助金や助成金は、法人であれば益金、個人事業主であれば事業所得の総収入金額に算入されます。つまり売上と同じように課税対象の収入として扱われるということです。持続化補助金のように50万円〜250万円規模の制度でも、その分だけ利益が増える計算になるため、決算の着地は必ず変わります。
もうひとつ押さえておきたいのが計上のタイミングです。補助金は原則として、実際の入金日ではなく交付決定などで受給する権利が確定した事業年度の収益として計上します。補助金の入金は事業実施と実績報告を終えた後になるため、決算期のまたぎ方によっては「まだ入金されていないのに課税される」という順序が起こり得ます。資金繰りを組むときは、この時間差を頭に入れておいてください。
この補助金の詳細
小規模事業者持続化補助金
最大 250万円 / 補助率 2/3(賃金引上げ特例の赤字事業者は3/4)
② 設備投資に使ったなら「圧縮記帳」で課税を先送りできる
設備投資系の補助金で救いになるのが圧縮記帳です。国や地方公共団体から交付された補助金(国庫補助金等)で固定資産を取得した場合、法人税法第42条(個人事業主は所得税法第42条)にもとづき、補助金相当額を圧縮限度額の範囲で損金に算入し、その分だけ資産の帳簿価額を減額できます。結果として、補助金を受け取った年度に一気に課税されることを避けられます。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金や成長加速化補助金のように、機械装置や建物の取得に充てる制度が典型的な適用対象です。
ただし圧縮記帳は税金の免除ではなく、あくまで課税の繰延べです。帳簿価額を下げた分、翌年度以降の減価償却費は小さくなるため、長い目で見れば納税総額は変わりません。狙いは「補助金が入った年度に納税が集中するのを防ぐ」ことにあります。また、すべての補助金が適用対象になるわけではなく、固定資産の取得・改良に充てられたものかどうかが分かれ目です。広告費や外注費に充てた補助金は対象になりません。適用の可否と処理方法は必ず顧問税理士に確認してください。
この補助金の詳細
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(旧 ものづくり補助金)
最大 3,500万円 / 補助率 1/2(条件により2/3、小規模事業者は2/3)
③ 消費税は不課税。ただし「仕入控除税額の返還」に注意
補助金の受け取りそのものは、消費税では不課税取引です。対価を得て行う取引ではないため、売上のように消費税がかかることはありません。ここまでは単純です。
問題はその先にあります。補助対象の経費を支払う際には消費税を負担しており、課税事業者であればそれを仕入税額控除できます。すると、補助金で費用の大部分を賄いながら、その消費税分は控除で戻ってくるという二重取りの状態が生じます。これを調整するため、多くの補助金では「消費税仕入控除税額」を確定申告後に事務局へ報告し、該当額を返還する義務が定められています。ITツールのように課税仕入れがほぼ全額を占める投資では、この返還額が無視できない大きさになります。免税事業者や、人件費など非課税の経費しかない場合は返還が生じませんが、その場合でも報告自体は求められるのが一般的です。実績報告で終わりだと思い込まず、交付規程の報告義務までひととおり確認しておきましょう。
この補助金の詳細
デジタル化・AI導入補助金2026(旧 IT導入補助金)
最大 450万円 / 補助率 最大3/4(小規模事業者は一部4/5)
④ 厚生労働省の助成金も同じく課税対象
キャリアアップ助成金や業務改善助成金といった雇用・労働関係の助成金も、税務上の扱いは補助金と同じです。法人なら益金、個人事業主なら事業所得の総収入金額に算入され、消費税は不課税です。「人件費に対する助成だから非課税」ということはありません。
ただし雇用関係の助成金は、多くが設備ではなく人件費や制度整備に対して支給されるため、固定資産の取得を前提とする圧縮記帳の対象にはなりません。正社員化1人あたり最大80万円が複数人分まとまって入金されると、その年度の利益はそのまま押し上げられます。人数分を計画的に申請する場合は、支給が集中する年度の納税額もあわせて見積もっておくと安心です。
この補助金の詳細
キャリアアップ助成金(正社員化コース)
最大 80万円 / 補助率 定額支給(中小企業1人あたり最大80万円+加算)
まとめ
補助金の税務は、「原則として課税される」「設備投資なら圧縮記帳で繰り延べられる場合がある」「消費税は不課税だが仕入控除分の返還がある」という3点を押さえておけば、大きな見落としは避けられます。とくに入金より先に課税のタイミングが来るケースは資金繰りに直結するため、申請を決めた段階で顧問税理士に共有しておくのが安全です。なお、具体的な会計処理や適用可否の判断は個別事情によって変わるため、最終的な確認は必ず税理士に依頼してください。
とはいえ、税務の話は使える制度が見つかってからの検討事項です。まずは無料診断で、自社にどの補助金が使えるかを確認してみてください。5つの質問に答えるだけで、相性の良い補助金がわかります。