賃上げに使える補助金・助成金4選【2026年度版】人件費アップの負担を軽くする制度
2026-09-14 更新 / 補助金かんたん診断 編集部
最低賃金は毎年のように引き上げられ、同業他社との人材の取り合いも激しくなっています。「賃上げしたいが、利益が追いつかない」というのは多くの中小企業に共通する悩みです。ただ、国の補助金・助成金は近年、賃上げに取り組む事業者を手厚く支援する方向に設計されており、賃上げを「コスト」ではなく「補助金を活用するきっかけ」に変えることができます。
一方で、賃上げを条件にした制度には「順番を間違えると対象外」「目標未達だと返還」といった落とし穴もあります。この記事では、賃上げとセットで使える代表的な補助金・助成金を4つ、注意点とあわせて紹介します。
① 最低賃金に近い時給を引き上げるなら「業務改善助成金」
賃上げと最も直接的に結びついた制度が、厚生労働省の業務改善助成金です。事業場内でもっとも低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げ、あわせて生産性向上のための設備投資などを行った場合に、その費用が3/4〜4/5の助成率で支援されます。上限は最大600万円。POSレジ、業務ソフト、調理機器など、業種に応じた幅広い投資が対象になり得ます。
令和8年度は申請受付の開始が2026年9月1日となり、締切は各都道府県の地域別最低賃金の発効日前日か11月30日のいずれか早い方です。コースは50円・70円・90円の3区分に再編されました。最大の注意点は順序で、賃上げは交付決定の後に行う必要があります。最低賃金の改定に合わせて先に時給を上げてしまうと対象外になるため、賃上げの時期を決める前にこの助成金を検討しましょう。
この補助金の詳細
業務改善助成金
最大 600万円 / 補助率 3/4〜4/5(事業場内最低賃金による)
② 非正規スタッフの正社員化と処遇改善なら「キャリアアップ助成金」
パート・アルバイトや契約社員を正社員に転換し、あわせて賃金を引き上げる場合は、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の対象になります。中小企業なら1人あたり最大80万円の定額支給で、設備投資が不要なのが特長です。令和8年度からは、正社員化に関する情報を公表した事業所への情報公表加算(中小企業20万円/事業所)も新設されました。
競争型の補助金と違い、要件を満たして正しい手順を踏めば支給される助成金ですが、手順は厳格です。キャリアアップ計画書を事前に労働局へ提出し、就業規則に基づいて転換し、転換後6ヶ月分の賃金を支払ってから支給申請する——この順序を一つでも間違えると支給されません。雇用関係助成金の申請代行は社会保険労務士の業務なので、顧問社労士がいれば早めに相談しておきましょう。
この補助金の詳細
キャリアアップ助成金(正社員化コース)
最大 80万円 / 補助率 定額支給(中小企業1人あたり最大80万円+加算)
③ 販路開拓と賃上げを同時に進めるなら「持続化補助金の賃金引上げ特例」
小規模事業者持続化補助金は、チラシ・ホームページ・店舗改装などの販路開拓費用を支援する補助金ですが、「賃金引上げ特例」を使うと補助上限が150万円上乗せされます(通常枠の上限50万円が200万円に。インボイス特例と併用すると250万円)。さらに、直近の決算が赤字の事業者が特例を使う場合は補助率が2/3から3/4に引き上げられます。業績が苦しい中でも賃上げに踏み切る事業者を後押しする設計です。
ただし、第20回公募では特例の要件が見直され、従業員1人あたりの給与支給総額の引き上げが基準になっています。要件を満たせなかった場合は特例部分だけでなく補助金全体が交付されないとされているため、無理のない賃上げ計画かどうかを慎重に判断しましょう。第20回の申請受付は2026年11月5日〜12月15日17:00で、商工会議所・商工会が発行する事業支援計画書(様式4)の発行受付締切は12月4日です。
この補助金の詳細
小規模事業者持続化補助金
最大 250万円 / 補助率 2/3(賃金引上げ特例の赤字事業者は3/4)
④ 省人化投資で賃上げの原資をつくるなら「中小企業省力化投資補助金」
賃上げを続けるには、少ない人数で同じ売上を上げられる体制づくりが欠かせません。ロボット・IoT・AIなどの省力化設備の導入を支援する省力化投資補助金は、人件費の上昇を生産性の向上で吸収するための制度です。この補助金も賃上げ要件を満たすと補助上限が引き上がる仕組みで、カタログから製品を選ぶ「カタログ注文型」(最大1,500万円)と、オーダーメイドの「一般型」(最大1億円)があります。
注意したいのは、上限引き上げを受けた場合、賃上げが未達だと補助金が減額される点です。「補助額を増やすために背伸びした賃上げ目標を立てる」のは避け、省力化で浮いた人件費をどう賃金に回すかまで含めて計画を立てましょう。一般型の第8回公募は申請受付が2026年9月18日10:00〜10月16日です。
この補助金の詳細
中小企業省力化投資補助金
最大 1億円 / 補助率 1/2以内(小規模事業者等は引上げあり)
まとめ
賃上げに使える制度は、「最低賃金近くの時給を上げるなら業務改善助成金」「正社員化とセットならキャリアアップ助成金」「販路開拓と一緒なら持続化補助金の賃金引上げ特例」「省人化で原資をつくるなら省力化投資補助金」という使い分けが基本です。いずれも賃上げのタイミングや達成状況が支給に直結するため、「賃上げを決める前に制度を調べる」ことが何より重要です。
自社で使える制度がどれか、まずは無料診断で確認してみてください。5つの質問に答えるだけで、相性の良い補助金がわかります。